心珠区記

畠田心珠ともうします。書家。書道教室のことなどはホームページ h-shinju.com をご覧くださいませ。

書道とお手本と創造性

ご質問いただいたので、答えます。

読んで嫌な気持ちになる方がいらしたらごめんなさい。

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【質問】

書道をしている子どもたちは、お手本だけにこだわり、学校の部活や書道教室でもお手本だけを頑張って書いているように思います。なぜでしょう?

考えを聞かせてください。

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<1>わたしのお手本についての考え方

書において、「①お手本を見て忠実に書くこと(見る力)」と、「②創造性(その人自身の個性)」は、同じくらい重要なものだと思います。

個性を伸ばし育んでいきたいですが、ルールがあってこその書ですから「①お手本を見て忠実に書くこと(見る力)」は不可欠です。

指導する際には、まず「①お手本を見て忠実に書くこと」について説明をし、みなさんが書かれた作品から「②創造性」を読み取り、伝えていけるように心がけています。各々の創造性というのは、「個性的に書こう!」と思ったときに生まれるのではなく、「①お手本を見て忠実に書くこと」を目指し書いて生まれてくるものをこちらが読み取り、ともに育んでいくものだと思っています。

書を学んでいく過程でお一人お一人に、自分自身の創造性に気づいていただき、自信を持って書と向かい合うことができることがいちばん大切だと私は考えます。

 

「①お手本を見て忠実に書くこと」は、得意な人と苦手な人がいます。

得意な人(器用な人)は「見る力」があるがゆえに、書かれた字が手本と違うことに本人が気づいてしまいます。そのため、より「①お手本を見て忠実に書くこと」にこだわってしまいがちです。そのときに、その方が楽に書けるよう「②創造性」に気付き声がけをすることが大事だと思っています。

逆に、苦手な人はぱっと見は未熟に見えるけれど「②創造性」を強く感じるので、その部分を伸ばしながら作品の完成度アップを目指します。

 

<2>お手本重視の指導が多いわけ

ある程度の力がついてきたら、「①お手本を見て忠実に書くこと」を目指さず、自分自身で臨書したり、創作したりするのはとても大事なことです。ぜひ、挑戦してほしいと思います。

でも、もちろんレベルは下がります。好き勝手に書くことが創造ではありませんから、ほどよい軌道修正が必要です。指導者にも、力が求められます。

 

実際、「①お手本を見て忠実に書くこと」のみを評価基準にするのは、指導する際、とても楽なのです。手本を横に、「ここがちがう」「あそこがちがう」と指摘すると、とても先生らしいですし(笑)、「これが正解だ」というものがあれば、教えられる側も安心します。

また、「①お手本を見て忠実に書くこと」のみを書道だと思っている方も多くいらっしゃるように思います。そのように指導されてきたから、そういうものだと思ってしまう、しかたないことです。

 

お手本の先にある、「創作」の面白さや個性あふれるその人なりの「創造性」が本来の書の魅力であるべきだと思います。ただ、それは思った以上に難しく、評価の軸を定めることも容易ではありません。

反対に、コンクールの賞というのは軸がわかりやすい。生徒の作品が評価されてほしいから、お手本そっくりの字を書かせるのです。気持ちとしては本当にごもっともですし、「賞を取る」というのは先生にとっても生徒にとっても名誉なことで、学校や教室のためにもなるし、生徒の親御さんも安心します。賞はモチベーションになるし、書を続ける原動力にもなりえます。

(賞を目指して指導をして、実際に賞を取る生徒を育てるというのはかんたんなことではありません、一応補足)

 

ここは、私も非常に葛藤するところです。書が大好きで、一生懸命書いている子に、賞をとってほしい。でも、賞を目指すための書に力を注がせるのは、私の本来目指すところではないのです。でも、あの子が賞をとって喜んでいる顔が見たい!!…

 

更に範囲を広げると小学校書写は書道ではなく「書写」、ただしい字を書くことを目指しているので、さらに視点は「忠実に書く」寄りになります。指導する先生が「創造性」に気づくことができず、「お手本にそっくりか」のみで判断てしまうことはかんたんに想像できます。(このことは別で述べます)

 

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以上が、回答に、なりましたでしょうか?

 

自分自身の思いと、書に求められているであろうことを考えると、いつもうまくまとまらないので、またなにか書きます。本読もう。

いつでも、何でも質問してください。

よろしくおねがいします。

畠田心珠